〜マルダイメグ 無敵の乙女街道まっしぐら〜
「相手のあし色の方が勢いはあったが並んでしまえばこの馬負けないと思ってみていました」と平成12年6月の厩舎開業から3年目にして重賞タイトルを手にした佐々木仁調教師
 第2回ローレル賞(1600m 3歳牝馬)を勝ったのはマルダイメグ。逃げるメモリヒメを追うかたちで二番手からの競馬。直線前を捉えると、さらに後ろから迫り来るモエギノマズルを振りきってゴールイン。わずかクビ差ながら完勝といえる内容だった。

 「こないだに限ってスタートは良くなかったが、競馬センスの良さを改めて感じた。無理して逃げなくてもいいし、とにかく並ばれてから渋太い。勝負根性っていうのかな。前二走もそうだったしが最後は頭の上げ下げのヒヤヒヤもん。突き離して勝つというより相手なりに走るタイプだから着差が小差。ハナでも勝ちは勝ちだから。これまで5戦消化して、グンと気合いを表に出すようになってきたね。初めてこの馬を見たのは2歳の春頃。BTCの坂路で乗って、秋になるまでガマンして入厩させた。女馬にしてはトモっぱりのいい馬だなという第一印象だった。最初の頃は今にして思えば重かったんだろうな、からだを持て余してる感じで落ち着きがなかった。キャンターにいこうとしても止まってしまう。まともな調教ができるようになるまでブリンカーをつけてみたり、長ばさくをつけてケイコをしたりして走ることを教えていった。デビュー戦は自信あったが、相手のダッシュ力の方が上で並ぶ間なく2着。二戦目は思った以上の勝ち方をしてくれたね。三戦目は中央交流、四戦目はトライアルだったが、砂を被ってもひるむことなく強い競馬してくれた。
相手が強くなれば調教法も上げていかなきゃならないからローレル賞前に初めて長めからビッシリ追切ったよ。次は桜花賞。どっしりした馬だから輸送は心配していない。後ろからになっても差せるはず。相手なりに走る馬だから先々の長い距離でも対応できるだろう」。
第2回 ローレル賞優勝
2月27日 於 川崎競馬場

マルダイメグ

  父フジキセキ
  母マルダイルビー
5戦4勝 牝3歳 鹿毛
2000年4月27日生
調教師●佐々木仁
馬主●(有)栄光開発
騎手●的場文男
厩務員●林宏史
生産者●澤田嘉隆

     
林宏史厩務員 主戦の一ノ瀬亨騎手
「調教師の期待が大きかったんでプレッシャーを感じてました(笑)。とにかく運がいい、タイミングのいい馬だと思います。飼い葉もよく食べてくれるので手は掛かりません。ただ運動はまだいいけど、洗い場がうるさいので(自分が)ケガしないように気をつけてます」という林厩務員の横でバンバンと蹴り上げてすごい音をたてている。林厩務員といえば第一回スパーキングレディーCで同着優勝したブンブンラリーや、ラハンヌを担当してきた牝馬の達人。「これで重賞は1.5勝です」と穏やかな人柄が女心をくすぐるのだろうか!?
 デビュー前から手綱を握り、日頃の調教すべてを担っているのが一ノ瀬騎手。ローレル賞の最終追い切りからも重賞での騎乗を楽しみにしていたのだが、レース前々日の落馬事故により右足腓骨々折するアクシデント。泣く泣く的場文雄騎手へと手綱を委ねたのであった。
 「完璧に仕上げたつもりだったんで、騎乗できなかったことがとにかく悔しい。病院にいて、あとでビデオを見たが強い勝ち方をしてくれたね。追ってからホント味のある馬。初め悪かったハミ受けもスムーズになってきたし、馬がどんどん成長しているのがわかる。まだ育つだろうし、本格化する今秋、ロジータ記念あたりも狙っちゃうよ」
2003年3月号
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