<山崎尋美調教師>
「いやぁゴールするまでは勝利を確信出来なかったよ。ゴール前で止まらなきゃいいなあと。しらさぎ賞の時のことがあるからね」とは山崎師の弁。1番人気を背負っての4着、3角までの行きっぷりが直線でパタッと止まってしまった前走(しらさぎ賞)のことが頭を過ぎったのだ。クラウンカップは2着にコンマ4秒差ながらも「ギリギリだね。馬も苦しい〜って感じで。」と控えめながらも終始笑顔の山崎師、それもそのはず師にとっては開業以来待望の重賞制覇となったからだ。
クラウンカップの勝者には羽田盃の優先出走権が与えられるが、レース後のコメントでは「いや、もう目標だった重賞制覇で充分」感無量の様子、それが話が進むにつれ「(羽田盃で)5着以内にくればダービーに出られるな」「ダービーに勝ったら盛大に祝勝会やるから」と期待に胸が膨らむ様子、ダービーに手が届くところまでもうちょっとである。
「はじめはこんな走るとは思わなかった。鎌倉記念(2着)からかな?これは走るな、って思ったのは。それで少し休ませた」神経質なところや腰の甘い点、頭の高い面などの注文がつく。成長途上の一頭だ。
山崎師にとって、ウィンブロー世代は苦戦の連続、2歳の認定レースに勝てないジレンマの日々だったのだが見事に重賞を手中に・・・。 話を聞き終わる頃、山崎厩舎の馬11頭が調教を終えて帰って来た。集団で調教するこの光景は圧巻である。このあたりに山崎厩舎の調教の秘密が隠されているのだろうか。全スタッフが馬に騎乗することで調教メニューの幅も広がる。素人目には歩く速度も速いように感じる。調教は総じて強めなのかも知れない。強い馬作りに徹しているのだろうか・・。強い調教を支えるのは20種もの飼料、これをスタッフが馬に応じて選択しているようだ。『選択肢の幅』が個々の馬の能力を引き出すツボを探り当ててクラウンカップの勝者・ウィンブローが誕生したのだ。 |
<山田 質厩務員>
「質」と書いて「すなお」と読む大分県出身の山田厩務員。ウィンブローにとって頼もしい相棒である。
「クラウンカップでは、かつてのような抜け出してからフワリと気を抜くところも見せなかったし、成長を感じました。相変わらず首を高くする面はありますが、デビューからこの走法で結果を出しくれていますし、今ではこの馬の走り方なんだと思っています。最初はブリンカーをつけ、そのあとはシャドーロール。首高が治ればといろいろやってみましたが変わりませんでした。それでも、馬込みに」入ってひるまないし、どんなレースでもできるのがこの馬の強み。来たばかりの頃はガードマンの小屋に突っ込んでいったりヤンチャでしたが、今は見違えるよう。こうしてカラダを触られるのは極端に嫌がりますが、それ以外の普段は人なつっこくて人間が大好きなんですよ」
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