〜 馬事徒然 〜
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馬具いろいろ 〜 その他の矯正馬具編 〜


 前回は耳あてとメンコの話を聞きましたが今回はその他の矯正馬具についてです。お話は前回に引き続き蒲谷馬具店の蒲谷政直さんに伺いました。

 遮眼革(ブリンカー)の話の前に少し馬の視覚のことをご紹介します。
「馬の視野は350度にもおよび、頭の真後ろの部分を除いてぐるりと周りを見渡すことができる。特に後方で動く物影に対して敏感に反応する習性があるがこれは後方から忍び寄る外敵に対しいち早く気づいて逃げるため。草食動物が生き残るための本能なのだ。が、レースではこうした機能が災いして走りに集中できない場合もある。遮眼革を使って後方や横の視野をさえぎり他馬の姿が見えなくなると馬は安心して走りに集中する。」(競馬の辞典より)
 遮眼革=ブリンカーはその字が示すとおり昔は革でできていて一時期はゴム素材もありましたが今はプラスチックでできています。上限は90度でそこからその馬にあわせて削ったりして調整しています。最近では似た効果のあるチークピーシーズもよく見かけます。
パシュファイヤーを装着したメンコ
あとはパシュファイヤーという目の周りに網が張ってあるものもあります。これは中央と違って地方ではレースに使うことは認められておらず調教やパドック、返し馬で装着します。
 馬の視野をさえぎるものはシャドーロールもあります。ブリンカーが横、後方の視野をさえぎるのに対してこれは下方の視野をさえぎり恐怖心を除く機能があります。足元を気にしてそこに映る影を怖がる馬に使用するのです。またシャドーロールには首の高い馬につけると足元をよく見ようとして首を下げる効果がありフォーム矯正の効果もあります。シャドーロールを装着する位置は頭絡が基本。中に詰め物をして縮ませたり膨らましたりその馬にあわせて調整可能です。シャドーロールはナリタブライアンが装着していたのが有名ですがこのときは注文がたくさん来たのだとか。馬具にも流行があるのですね。今は特にこれといった流行はないそうですが全体的にソフトタッチの馬具になっているとのこと。昔はヨレたりするのを矯正するためハミに釘のついたものもあってレースが終わって血まみれになってしまった馬もいたそう。今は機能的で馬にやさしい馬具の時代。たしかにシャドーロールやチークピーシーズはふわふわでやさしげな感じですよね。  <楓>


2004年11月号
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